BLUE ROUTE訪問記 後編

前編のおさらい
JEANS JOURNEY初の本当のJOURNEYとして、操業3年目のジーンズアトリエBLUE ROUTEさんにお邪魔しています。まあJOURNEYといっても東京から車で一時間くらいですが。
佐井さんとのやり取りを対談形式でお伝えしています。前編からご覧頂きませんと、以降の内容が理解できないかと思います。ぜひ前編をご一読ください。

佐井「でも一番価値があるのはこれですかねー。」
と言って、壁に掛けてあるデニムのバナーをピラッと外しました。そこにあったのは、何と!Σ(・□・;)



小泉「これって、本に載っていた写真で見た事あるよ!」
(オールド・ジーンズ ㈱ワールドフォトプレス刊 マイケル・A・ハリス著 中村省三氏訳 P71上段写真)
『おそらく1880年代に製造されたと思われる「ボス・オブ・ザ・ロード」ジーンズの右フロントポケットのクローズアップ写真。ステッチングは極めて粗雑である。ポケットの装飾ステッチは、その前のズボンがシングル・ライン゜だったのに、このズボンではダブル・ラインになっている。ここでも新たな情報から、このズボンはイノシュッター・ブラザーズ以外の別の会社によって製造されたものだろうと私は考えるようになっている。』
(引用元 オールド・ジーンズ ㈱ワールドフォトプレス刊)

佐井「そうです、そうです。それの実物です。130年くらい前のジーンズです。」
まあ、ジーンズのプロである我々としては、こういう物を所有していても不思議では無いのですが、膝から下が千切れていて履けないようなジーンズを〇〇万円も払って買ってしまうとは、やっぱりちょっと変だと思う。(笑)
ちなみにこれも奥さんには内緒だそうです。

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小泉「でもやっぱり、佐井さんの一番の得意技はパターンなんだよね?」
佐井「そうですね。特にオーダージーンズはパターンから起こしてますから。」
確かに壁には、カットしたパターンが大量に吊り下げられています。これは一人のお客さんにひとつのパターンという、オーダージーンズらしい光景ですね。

小泉「佐井さんの考える、ジーンズの『良いパターン』ってのはどういうモノなの?」
佐井「うーん、最近少し考え方が変わってきましたね。以前は、ジーンズらしいパターンが良いと思っていたので、あまりカーブを使わない、縫いやすいパターンを作っていました。」
小泉「まあ、ああいうの(壁に飾ってあるジーンズ)なんかは、脇も内股も尻もほとんどが直線だもんね。」
佐井「そうです、そうです。でも、本来、キレイにフィットするパターンっていうのは内股とか尻ぐりもカーブをしっかり付けて、特に内股なんかはカーブがきつ過ぎて途中で仮止めしとかないと縫えないみたいな、とても縫いにくいモノだと思うようになりました。それは、いろいろなアパレルさんのサンプルを縫製したり、オーダージーンズのパターンを作るようになって実感しました。以前大手ジーンズメーカーで働いていた頃にはそんなパターンはあり得なかったですから。」
小泉「そうだよね。それが現代風のジーンズのパターンなんだろうね。素材も多様化しているしね。うーん。良い話が聴けました。」

小泉「これからどんな仕事したいと思っているの?」
佐井「とりあえずこれからはボトムスだけじゃなくてデニムジャケットも通販でやって行こうと思っています。通販のアイテムを徐々に増やして行こうかなと。あとは、ペットのウエアとかもやりたいです。せっかくオーダージーンズやっているので、ワンちゃんと飼い主さんのペアルックとか。可愛いと思いませんか?」
小泉「あー、それは良いと思う。可愛いよね。」
佐井「あとは、以前知人の紹介で百貨店での催事イベントをやっている方を紹介して頂いて、一度は藤沢駅のビルで催事をやるのでお誘い頂いたんです。(佐井さんの住居は藤沢です。) そういう所にBLUEROUTEとして出店させて頂き、自分で販売とかもやってみたいです。とにかく、自分が楽しいと思える仕事をしていきたいですね。」

ご実家だった場所を自分で改築してカッコよく作り直して自分の好きなジーンズアトリエを始め、電子ドラムセットとZO-3ベースとアンプ内蔵ギターをセッティングしてバンドの練習ができるようにしたり(ときどき一緒にバンドもやっています。)サーフィン関係のディスプレイなどで好きなように飾り付け、それを奥さんにはほとんど内緒でやっている(笑)佐井さん、男の人生を楽しんでいるなと思います。さすがです。(^^)

佐井「ただ、ひとつだけ思うのは、会社に行っているときには一日中同僚社員と一緒にいて、いろいろと話したり、仕事帰りに飲みに行って誰かの悪口を聞いたり(笑)誰と誰がデキているとか、そういう他愛も無い話をしていて、当時はそれが面倒くさいなとか思っていたんですが、今となってはそういう環境にメチャ飢えています。(笑)   今は藤沢の自宅からバイクで通勤して、一日中一人で誰とも会わず、誰とも話さない日とかもあって、すごく寂しいと思うことがあります。今日は小泉さんが遊びに来てくれて嬉しいですー(ToT)/~~」

(笑) まあ、無いものねだりというヤツだとは思いますが、佐井さんはとても寂しいらしいです。(^O^)
世界に一本しか無いオリジナルのジーンズを作ってみたいと思う貴方! ビンテージマニアで佐井さんのレアなコレクションを見てみたいと思う方、以前からの佐井さんのお友達の方、ぜひ神奈川県方面に行かれる機会がございましたら綾瀬市厚木基地近くのBLUE ROUTEさんに遊びに行ってあげてください。

BLUE ROUTE
アトリエのご案内(要予約)
〒252-1132
神奈川県綾瀬市寺尾中4-3-2
TEL.FAX 0467-38-7701

BLUE ROUTEホームページ
https://www.blueroute.rocks/
インスタグラム
https://instagram.com/blueroute_jeans?igshid=1u6o1qz9y5c07

BLUE ROUTE訪問記 前編

今回はJEANS JOURNEYというタイトルにふさわしく、近距離のJOURNEYをしてみようと思い立ち、最近本格的なオーダージーンズが作れることから一部で話題になっている『BLUE ROUTE』というジーンズアトリエさんにお邪魔しました。BLUE ROUTEの佐井さんとの付き合いは古く、公私ともに親しくお付き合い頂いております。実は最近会ったのは3週間くらい前で、正月の1月3日に二人で釣りに行ったばかりです。富士山の麓、極寒の御殿場でルアーやフライフィッシングを楽しんできました。正月の御殿場での釣りはすでに20年近くの恒例行事になっています。その日の事はBLUE ROUTEさんのインスタに投稿されていましたのでぜひご覧ください。
インスタ アドレス https://www.instagram.com/p/CJlOlzGDqU0/?igshid=1obwz008ury0k

BLUE ROUTEさんの所在地は神奈川県の綾瀬市にあります。車で行く場合には、圏央道の海老名インターで降りて横浜方面に戻る感じになります。海老名インターを降りて10分ほど車を走らせると上空のかなり低い所を、巨大な見慣れない飛行機が飛んでいます。綾瀬市には、終戦の時にマッカーサー元帥が降り立った事で知られる厚木基地がありまして、BLUE ROUTEさんのご近所にもアメリカっぽい雰囲気のレストランなどがあったりします。

以下、対談形式とさせて頂きます。(一度やってみたかった 笑) BLUE ROUTE佐井さんは敬称略とさせて頂き『佐井』、JEANS MEISTER小泉は『小泉』とさせて頂きます。

小泉「お忙しいところお時間を頂きありがとうございます。佐井さんっていま何歳なんだっけ?」
佐井「49歳ですけど来年の年明けに50歳になる年齢です。」
小泉「21歳で就職したんだよね。おー、ってことはすでに俺たちの付き合いって29年間になるんだ。
長っ!(・o・)」
佐井「そういう事になりますねー。」
小泉「そうだよなー。そうか。ってことは20年くらい前、真夜中に丹沢湖でサクラマス狙った時にもいたんだっけ? (ちなみに神奈川県では丹沢湖というところは自殺の名所として有名で、橋からお飛び降りになる方が多いらしい。そんなところの橋桁に降り立って一晩中釣りをするのは異常な行動でしか無い。笑)
佐井「いましたよー。あとは茅ケ崎の柳島で真夜中にシーバス狙ったり、栃木の管理釣り場と埼玉の管理釣り場を一日でハシゴしたり。狂っているとしか思えない。笑」
と、釣りの思い出話が延々と続くのですが、カットします。

小泉「BLUE ROUTE始めて3年だよね。今はどんな仕事が多いの?」
佐井「アパレルメーカーからのサンプル縫製の依頼がだいたい半分くらいです。パターンはアパレルさんから送られて来ることが多いんですが、パターン作成から依頼される事もあります。あとの半分がオーダージーンズという僕のオリジナルの仕事で、お客さんの要望通りにジーンズを作ります。今日も午前中に遠方から完成したジーンズを受け取りに来たお客さんがいらしたんです。」
小泉「オーダージーンズって、どういう人が作るの?」
佐井「うーん、本当にいろいろな方がいらっしゃいます。すごいビンテージジーンズに詳しい日本を代表するようなジーンズマニアの方もいらっしゃるし、自分で描いたデザイン画を何点もお持ちになって、そのデザイン画からパターンを起こして仮縫いして、再度確認のためにご来店されてパターンを修正して、最終的に自分のオリジナルジーンズができるまでのプロセスを楽しむ方とか。 オーダージーンズについては、とにかくお客様のご要望に可能な限り応えるという事を、自分のスタイルとして意識しています。ですから、コッテコテのビンテージレプリカの仕様で作りたくて、他のオーダー屋さんで断られてしまった方なんかもお見えになって、僕は可能な限りやりますのでとても喜んで頂けます。そういう方がリピーターになってくださったり、お友達を紹介してくださったりして、徐々にですがオーダーの仕事は増えています。」

小泉「でも、そもそも佐井さんって特にビンテージマニアって感じでは無かったよね? どっちかというと以前はハーレーに乗っていて、70年代的なテイストのイメージがあるけど。ビンテージっていうよりは古着が好きって感じだった気がする。」
佐井「確かに古着は昔から大好きでした。ビンテージっていうよりはアメカジ全般ですかね。70’sテイストは大好きです。今もサーフィンやったりしてますし。でも、ビンテージも好きなので、何点か持ってますよ。」
と言って、無造作にテーブルに積み上げられていたGジャンを広げて見せてもらいました。
おお! 写真を見てください。なんとびっくり、本物のLevi’s ファースト、セカンド、サードです。(・o・)

ファースト

セカンド

サード

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小泉「これ、いくらしたの?」
佐井「オークションとかでワリと安く手に入れたんですけど、これとこれが〇〇万円くらいです。」
小泉「(-_-;) よく奥さんに怒られないよねー。」
佐井「いえ、奥さんには言ってません。笑 内緒で買っています。まあ、こんなボロボロのGジャンとかがそんなに高いとはまず思われないので。」
それはそうである。
佐井「でも一番価値があるのはこれですかねー。」
と言って、壁に掛けてあるデニムのバナーをピラッと外しました。そこにあったのは、何と!Σ(・□・;)
以下後編に続く。